融資・資金繰り
複数の銀行から融資を受けるメリット【銀行との賢い付き合い方】
1つの銀行とだけ取引している会社
「複数の銀行から融資を受けた方が良いと聞くけど、あまり必要性を感じないし…。あまり借金も増やしたくないし…。複数の銀行から融資を受けるメリットを教えてください。」
こういったお悩みに答えます。
本記事のゴール
3分程で読み終わります。読み終えた後には、「銀行との賢い付き合い方」がわかり、資金繰りに困らない経営の第一歩を踏み出せます。
こんにちは。近藤税理士事務所の近藤です。
私は、税理士事務所・一般事業会社・企業再生コンサルティング会社勤務を経て独立した少し変わった経歴を持つ税理士です。
税理士業界から一度離れ、倒産危機に陥る会社をたくさん見てきたからこそ、「数字の重要性」を再認識することができました。
その貴重な経験のなかで得た「気付き」や「ノウハウ」をブログに綴って情報発信しています。
「経営を数字という言葉で語れるようになること」
そうすれば、あなたの会社は必ず変われます。
複数の銀行から融資を受けるメリット
あなたの会社が、いままで融資を受けたことがない、もしくは、1つの銀行からだけ融資を受けているといった場合は、複数の銀行と取引することをお勧めします。
最低でも、民間の銀行2つに日本政策金融公庫を加えた3行との取引がベターです。
日本政策金融公庫は公的な銀行で「様々な融資制度」がありますから、融資が受けられるのであれば、お付き合いしていて損はありません。
以下、民間の銀行について書いていきます。
それでは、なぜ複数の銀行から融資を受けた方が良いのか?そのメリットを見ていきましょう。
複数の銀行から融資を受けるメリットは、下記の通り。
- メリット①:銀行間での競争が生まれる
- メリット②:不測の事態に備えた資金調達先が確保できる
- メリット③:銀行が破綻した時のリスクヘッジができる
メリット①:銀行間での競争が生まれる
複数の銀行と取引していると、融資の申し込みをする際に、金利や貸出条件等で競争をさせることができます。
1つの銀行としか取引していなければ、比較するものがありませんから、金利や貸出条件等はその銀行の言いなりになってしまいがちです。
でも、複数の銀行と取引していれば、それぞれの銀行に融資の申し込みをして、より良い条件を提示してくれた銀行から融資を受ければ良いわけです。
銀行は融資するのが仕事ですから、「融資したい!」と考えています。その時、競争が生まれます。
できるだけ良い条件で融資を引き出すことは、会社を経営するうえでの鉄則です。
メリット②:不測の事態に備えた資金調達先が確保できる
会社として、不測の事態を想定して資金調達先を確保しておくことは、とても大切です。
1つの銀行としか取引していない場合に、不測の事態が生じたら…。その銀行が融資してくれれば問題ありませんが、もし融資してくれなかったら???
あなたの会社の資金繰りは、かなり危険な状況に追い込まれることになるでしょう。
不測の事態になってから新しい銀行を探しているようでは遅過ぎます。平時のうちに、複数の資金調達先を確保しておくことが資金繰り安定化のコツです。
メリット③:銀行が破綻した時のリスクヘッジができる
あってはならないことですが、取引している銀行が破綻した場合のリスクヘッジをしておくことも物凄く重要です。
1つの銀行としか取引していない場合に、その銀行が破綻したなら…急いで新しい銀行を探さなければなりません。銀行は、基本的に新しい融資先には慎重に対応します。資金繰りに困っている状況なら尚更です。
実際に聞いた話ですが、ある会社は新しい銀行から融資を受けれずに倒産したそうです。
どこの銀行も破綻の可能性はゼロではありませんから、万が一の銀行の破綻に備えてリスクヘッジしておくべきです。
複数の銀行と取引する際の注意点
注意点は、下記の通り。
- 注意点①:メインバンクを決めておく
- 注意点②:各銀行の強みを知る
- 注意点③:各銀行の姿勢を見極める
注意点①:メインバンクを決めておく
メインバンクを決めておきましょう。
いざという時に力になってくれるのがメインバンクです。あなたの会社と相性の良い、信頼のできる、面倒見の良い銀行をメインバンクにしましょう。
ただし、メインバンクと言っても、どんな時でも支援してくれるとは限りません。
銀行からすれば、あなたの会社は「数ある融資先のひとつ」に過ぎませんから、過度な期待はしないでください。そのために、複数の銀行と取引するわけです。
注意点②:各銀行の強みを知る
それぞれの銀行の強みを知っておくと、融資交渉がスムーズに進みます。
銀行は、強みを活かした融資活動をしていますので、あなたの会社のニーズと合致すれば積極的に動いてくれます。
例えば、こんな感じです。
- 創業融資に力を入れている
- 少額の融資でも積極的に動いてくれる
- 超長期での不動産担保融資に力を入れている 等
ですから、それぞれの銀行の強みを知っておくことは有用です。
注意点③:各銀行の姿勢を見極める
それぞれの銀行の融資姿勢を見極めることは、非常に大切です。
銀行によって、あなたの会社の評価は同じではありません。積極的に融資の相談に乗ってくれる銀行もあれば、そうでない銀行も出てきます。
まともに相談に乗ってくれない銀行にいくら相談しても、満足のいく回答は得られないでしょう。
資金が必要な時にこんな状態では困りますので、常日頃からそれぞれの銀行の融資姿勢を見極めることに努め、場合によっては他の銀行も開拓しておく必要があります。
(銀行の選び方については、こちらの記事もどうぞ)
(参考記事)
融資を受ける銀行の選び方【これで銀行選びに失敗しない!】
脱・無借金経営のススメ
世の中には、無借金経営に憧れのようなものを抱いている方が多いように思います。
確かに、無借金であれば、月々の返済もありませんし、金利の支払いもありません。無借金のままでいけるなら、このまま行きたい…。気持ちはわかります。
しかし、現に無借金経営をしている会社であっても、始めから無借金だったわけではありません。
借金をして手元資金を厚くし、ビジネスチャンスを逃さず着実に会社を大きくして、また借金する。その繰り返しの中で、徐々に借金を減らしていって、最終的に無借金になったのです。
無借金経営は目指すものではありません。物凄い経営努力の果ての「結果」に過ぎないのです。
あなたの会社が目指すのは、無借金経営ではなくて、「実質無借金経営」です。
実質無借金経営とは、借金以上の現金預金を持っており、返そうと思えばいつでも返せる経営状態を言います。
「それなら借金を返して、無借金になれば良いじゃないか」と思われる方もいると思いますが、それでは手元資金が少なくなってしまいます。
ビジネスチャンスを逃さないために手元資金を厚くし、いざという時のために資金調達の間口を広げて複数の銀行と取引しておく。これが「資金繰りに困らない経営」を実現するための秘訣です。
金利は、そのための単なる保険料です。
まとめ
複数の銀行と付き合うことのメリットについて書いてきました。
会社を成長させていくためには、「銀行と賢く付き合っていく術」を身に付けなければなりません。
そのひとつが「複数の銀行から融資を受けること」なのです。
最後にもう一度、複数の銀行から融資を受けるメリットを確認しておきましょう。
- メリット①:銀行間での競争が生まれる
- メリット②:不測の事態に備えた資金調達先が確保できる
- メリット③:銀行が破綻した時のリスクヘッジができる
お金が無くて困っている会社に銀行は融資できません。
だからこそ、平時のうちから複数の銀行と取引しておくことが、「資金繰りに困らない経営」の第一歩となるのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ、下記の当事務所サービスページもご確認いただけると嬉しいです。