融資・資金繰り

粉飾決算は絶対にしてはいけません【粉飾決算の最悪のシナリオ】

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2021.10.19

2021.11.18

最近、業績が思わしくない会社の社長
「粉飾決算はダメという話をよく聞くが、実際のところ粉飾決算をしたらどうなるの?赤字を出して銀行が融資してくれなかったらと思うと…そんなときはどうすれば良いの?正しい対処方法を教えてほしい。」

こういったお悩みに答えます。

本記事のゴール
3分程で読み終わります。読み終えた後には、粉飾決算をしたら「どんな最悪の未来」が待ち構えているかがわかり、会社経営に真摯に取り組むキッカケを得ることができます。

こんにちは。近藤税理士事務所の近藤です。

私は、税理士事務所・一般事業会社・企業再生コンサルティング会社勤務を経て独立した少し変わった経歴を持つ税理士です。

税理士業界から一度離れ、倒産危機に陥る会社をたくさん見てきたからこそ、「数字の重要性」を再認識することができました。

その貴重な経験のなかで得た「気付き」や「ノウハウ」をブログに綴って情報発信しています。

経営を数字という言葉で語れるようになること

そうすれば、あなたの会社は必ず変われます。

なぜ、粉飾決算をしてはいけないのか?

両手の人差し指でペケをする男性の画像

粉飾決算とは、会計数値を操作して、実際は「赤字」なのを「黒字」と見せかけて決算を組むことをいいます。

法人税等の税金は、利益(所得)に対して課されるので、粉飾決算をして「黒字」を装うと、本来であれば納める必要のない税金を支払うことになってしまいます。

なぜ、そこまでして粉飾決算をするのかというと…

それは、ズバリ「銀行から融資を受けるため」です。

(その他の理由としては、取引先や株主等からの信頼を繋ぎ止めるために「赤字」を隠蔽するケースもありますが、ここでは割愛します。)

赤字を出してしまうと、銀行は融資してくれなくなるんじゃないか…

お金が無くなれば会社は倒産です。この資金ショートの不安・恐怖から、安易に粉飾決算に手を染めてしまうのが実情ではないでしょうか。

粉飾決算は、「麻薬」のようなもの。最初は悪いことと思いながらも「今回だけ…」と軽い気持ちで始めます。でも、いちど粉飾決算をした会社は、なかなか元には戻れません。必ずまたやります。

粉飾決算は「犯罪」です。そして、粉飾決算を続ければ、やがて大きなブーメランとなって自分に返ってきます。そのときには、会社は「致命傷」を負うことは避けられませんし、最悪の場合、「倒産」するかもしれません。

だから、粉飾決算は絶対にしてはいけないのです。

粉飾決算の最悪のシナリオ

疲れ切った表情でどこかに電話をかけるサラリーマンの画像

粉飾決算に手を染めた会社は、最悪の場合、このような道を辿ります。

  • 【誘惑】初めて粉飾決算に手を出す
  • 【依存】何度も粉飾決算を繰り返す
  • 【焦り】やがて銀行が怪しむ
  • 【後悔】融資が止まり、資金繰りに困窮する

【誘惑】初めて粉飾決算に手を出す

  • 当期の業績は思わしくなく…このままでは赤字決算になる見込み
  • 売上低迷・不採算事業の存在・固定費の増加など、手を打たなければならない経営課題は山積みだが…銀行から融資を受けるために、赤字決算だけは絶対に避けたい
  • 決算では、予想どおりに赤字確定…赤字であることを銀行に知られたくない思いから、初めて粉飾決算に手を染める
  • 何事もなかったかのように、銀行から融資を受けることができた

初めて粉飾決算に手を出すときは、だいたいこんな感じです。

ここでポイントとなるのが、粉飾決算をした結果「いつも通りに銀行から融資を受けることができた」ということです。

粉飾決算をしたからといって、すぐにバレることはまずありません。これが粉飾決算の一番怖いところで、粉飾決算をして融資を受けることができたという成功体験(?)が、社長の感覚を麻痺させていきます。

そして、融資を受けることができたら安心してしまうのでしょう。結局、赤字原因と向き合おうとせず、これまでと同じように会社を経営していきます。

【依存】何度も粉飾決算を繰り返す

  • 頑張ってはいるものの…業績は思うように好転しない
  • 当期もやはり赤字決算の見込み…前回も無事に銀行から融資を受けることができたし、もう少しすれば売上も回復するはず
  • そして、再び粉飾決算に手を染めてしまう
  • 今回も無事に銀行から融資を受けることができた

いちど粉飾決算をした会社は、なかなか足を洗うことはできません。

なぜなら、会計数値を操作して「黒字」にすれば銀行から融資を受けることができるのですから。銀行から「あれこれ」と追求されることもありませんし、こんなに楽なことはありません。

でも、いくら粉飾決算で「黒字」を装っても、実際は「赤字」です。抜本的な利益改善に取り組むことなく、このまま何もしないでいると…会社にはダメージがどんどん蓄積されていきます。

やがて、会社はダメージに耐え切れなくなるのですが…社長はそのことにまだ気付いていません。

【焦り】やがて銀行が怪しむ

  • 最近、銀行の対応がおかしい…
  • いろいろと資料を要求されるし、融資を申し込んでもスムーズに実行してくれない…
  • もしかして、粉飾決算をしてたことがバレたのか!?
  • 手元資金に余裕はないし…どうしよう

粉飾決算を繰り返していると、決算書の数値に明らかな「歪み」が生じてきます。

銀行もバカではありません。実は、もっと早い段階で粉飾には気付いています。ただ銀行として粉飾決算を認定してしまうと融資ができなくなってしまうので、気付いていないフリをしていたのです。

とはいっても、状況が悪化してくると銀行は何もしないわけではなく、着実に融資残高を減らしていきます。融資をしても、あくまで返済を受けた金額を折り返すだけで、与信を増やすような融資は絶対にしません。

例えば、当初融資を受けた1,000万円が、毎月返済をして融資残高500万円になった場合。500万円の折り返し融資を受ければ融資残高は当初の1,000万円に戻りますが、折り返し融資が400万円、300万円と徐々に少なくなっていきます。

実際は「赤字」でお金を垂れ流しているところに融資残高が減っていくわけですから、資金繰りは当然にしんどくなっていきます。

この頃になって、ようやく社長に焦りが見えはじめます。

【後悔】融資が止まり、資金繰りに困窮する

  • ついに…銀行から融資はできないと告げられる
  • 他の銀行に融資を申し込むも…すべて断られた
  • 返済をストップするも…赤字であることは変わらず手元資金は減り続ける
  • もう何をどうすればいいのかわからない…

これが、粉飾決算の「最悪のシナリオ」です。

銀行は、貸したお金をしっかり返してくれるところに融資します。逆にいうと、貸したお金が返ってこない可能性の高いところには融資しない・できないのです。

いまからでも赤字原因と向き合って黒字化できればいいのですが…ここまで来てしまうと話は簡単ではありませんし、粉飾決算をしていたという事実は消えません。

なにより安易に粉飾決算に逃げてしまった社長では、これからの困難を乗り越えていくのは相当厳しいと思います。

あのとき、粉飾決算なんてしなければよかった…

社長の後悔の念が聴こえてくるようです。

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では、どうすればよかったのか?

笑顔でOKサインを出す男性の画像

粉飾決算は、絶対にしてはいけません。

それは、これまで書いてきたとおりですが…では、どうすればよかったのでしょうか?

ポイントは「3つ」です。

  • その①:赤字を出す前に借りられるだけ借りておく
  • その②:赤字を出しても翌期には絶対に黒字化させる
  • その③:できるだけ早く専門家に相談する

その①:赤字を出す前に借りられるだけ借りておく

ターニングポイントは「初めて粉飾決算に手を出したとき」でした。ここから歯車が狂いだしています。

まず、赤字決算が見込まれていたのなら、今後の資金不足に備えて、そのときに「借りられるだけ銀行から融資を受けて手元資金を厚くしておくこと」が必要でした。

手元資金に余裕があれば、安易に粉飾決算に手を出すこともなかったでしょうし、黒字化させるための時間も確保できたはずです。

銀行は、お金に困っているところには融資しません。貸したお金をしっかり返してくれるところに融資するのです。

お金は、借りられるときに借りておく!」これが鉄則です。

その②:赤字を出しても翌期には絶対に黒字化させる

また、会社を経営していれば、良いときもあれば悪いときも必ずあります。だから、ときには赤字を出してしまうこともあるでしょう。

このとき大事なのは、赤字の原因をしっかり究明して、翌期には絶対に黒字化させるということです。

  • 売上が低迷している要因は何か?
  • 不採算事業の今後の見通しは?撤退すべきか?
  • 無駄な固定費はないか?
  • 逆に経費を増やして攻めの経営に転じるべきか? など

社長が真摯に経営に取り組んでいる限り、そう簡単に会社が傾くことはありません。それに、銀行も単年度の赤字であれば、それほど問題視はしません。

つまり、粉飾決算に手を出す必要はなかったのです。

その③:できるだけ早く専門家に相談する

こういうときは、できるだけ早く専門家に相談することをお勧めします。

会社が窮地に陥ってから専門家を探しているようでは、はっきりいって遅すぎます。もっと早いタイミングでの相談が必要です。

今回のケースでは、遅くても「初めて粉飾決算に手を出す前」には相談したかったところです。もし、適切なタイミングで専門家に相談できていれば…安易に粉飾決算に手を出すようなことはなかったはずです。

社長ひとりで抱え込む必要はありません。

もっと専門家を活用しましょう。

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まとめ

「粉飾決算の最悪のシナリオ」について書いてきました。

粉飾決算の最悪のシナリオ

  • 【誘惑】初めて粉飾決算に手を出す
  • 【依存】何度も粉飾決算を繰り返す
  • 【焦り】やがて銀行が怪しむ
  • 【後悔】融資が止まり、資金繰りに困窮する

粉飾決算に手を染めた会社は、最悪の場合、このような道を辿ります。

粉飾決算は「麻薬」です。過ちに気付いても、なかなか元には戻れません。必ずまたやります。そして、気付いたときには会社はボロボロになっています…

だから「粉飾決算は絶対にしてはいけません!

もし、今回のようなケースで悩んでいるようでしたら、傷口が広がらないうちに、できるだけ早く専門家に相談してください。

行動が早ければ早いほど、会社を立て直せる可能性が高まります。

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最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ、下記の当事務所サービスページもご確認いただけると嬉しいです。

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