経理効率化
自社で月次決算をするための5つの手順【こういう時こそ税理士を利用せよ】
自社で月次決算ができるようになりたい会社
「税理士に記帳代行を依頼するのをやめて、自社で月次決算ができるようになりたい。だけど、何をどうすれば良いものか…。わかりやすく月次決算のやり方や手順を教えてください。」
こういったお悩みに答えます。
本記事のゴール
3分程で読み終わります。読み終えた後には、自社で月次決算をするためにやるべきことが理解できるようになります。
こんにちは。近藤税理士事務所の近藤です。
私は、税理士事務所・一般事業会社・企業再生コンサルティング会社勤務を経て独立した少し変わった経歴を持つ税理士です。
税理士業界から一度離れ、倒産危機に陥る会社をたくさん見てきたからこそ、「数字の重要性」を再認識することができました。
その貴重な経験のなかで得た「気付き」や「ノウハウ」をブログに綴って情報発信しています。
「経営を数字という言葉で語れるようになること」
そうすれば、あなたの会社は必ず変われます。
会計ソフトの機能を活用する
自社で月次決算ができない会社のよくある悩みとして、「そもそも簿記を勉強したことがない…、だから記帳できない…」というのがあるかと思います。
でも、会計ソフトの「仕訳パターン登録」機能をフル活用すれば、簿記の知識がなくても仕訳をすることができるのです。
ご存じでしたか?
「仕訳パターン登録」機能とは、実際に使う仕訳のパターンを予め登録しておき、必要に応じて仕訳パターンを呼び出すことで、仕訳入力の補助をしてくれる機能です。
この機能の良いところは、最初の仕訳パターンの登録さえ間違わなければ、いつも同じ仕訳をすることができ、人為的なミスを大幅に減らせることです。また、入力担当者が変わっても引き継ぎが簡単で助かります。
どこの会社もそうですが、日々の取引の95%はパターン化できます。あなたの会社も例外ではありません。
つまり、95%の取引を「仕訳パターン登録」すれば、自社で記帳ができるようになるということです。
残り5%のイレギュラーな取引が出てきたときは…すぐに税理士に質問!そのための顧問税理士ですからね。
会計ソフトの「仕訳パターン登録」機能をフル活用して、記帳代行から脱却しましょう。
(クラウド会計なら、さらに手間を省けます!)
自社で月次決算をするための5つの手順
一般的な卸売業をイメージして説明していきます。
手順は下記のとおり。
- 手順①:日々のお金の動きを入力する
- 手順②:売上高と仕入高を一括計上する
- 手順③:在庫の金額を計上する
- 手順④:間違いがないかチェックする
- 手順⑤:月次試算表で業績を確認する
手順①:日々のお金の動きを入力する
日々のお金の動きを会計ソフトに入力する。これが基本です。
もちろん、会計ソフトの「仕訳パターン登録」機能をフル活用しましょう。
「家計簿」をつけるイメージです。仕訳パターンを呼び出して「日付」と「金額」を入力、これを繰り返していきます。
お金の動きを追いかけていくわけですから、取り組みやすいと思います。
最初は大変かもしれませんが、いつの間にかサクサクと会計ソフトを使いこなしていると思いますよ。
手順②:売上高と仕入高を一括計上する
月末に一括して、売上高と仕入高を会計ソフトに入力します。
(売掛金 ××× / 売上高 ×××)
(仕入高 ××× / 買掛金 ×××)
得意先台帳や仕入先台帳に基づいて、1ヶ月の合計額で仕訳をすればOKです。
もちろん、この仕訳も「仕訳パターン登録」してくださいね。
手順③:在庫の金額を計上する
月末に在庫の金額を会計ソフトに入力します。
(前月末在庫棚卸高 ××× / 商品 ×××)
(商品 ××× / 当月末在庫棚卸高 ×××)
在庫を計上しなければ正しく利益計算ができません。重要な処理ですので間違えないようにしましょう。
もちろん、この仕訳も「仕訳パターン登録」するわけですが、手順②の仕訳パターンと一緒に登録しておけば、在庫の計上を忘れるという間違いを減らせると思います。ちょっとしたコツです。
手順④:間違いがないかチェックする
すべての入力が完了したら、間違いがないか必ずチェックしましょう。
こんな感じでチェックします。
- 現金預金の残高を合わせる
- 売掛金・買掛金などの残高を合わせる
- その他の貸借対照表科目の残高を合わせる
現金預金の残高を合わせる
まず始めに、現金預金の会計ソフト上の残高と実際の残高を合わせてください。
現金預金の残高が合うということは、お金の動きが漏れなく会計ソフトに入力できているということを意味します。
つまり、残高が合った時点で会計データの80%が完成したといっても過言ではありません。
売掛金・買掛金などの残高を合わせる
受取手形や売掛金、支払手形や買掛金の会計ソフト上の残高と実際の残高を合わせます。
受取手形・売掛金・支払手形・買掛金の残高が合えば、当月分の売上と仕入が間違いなく会計ソフトに入力できているということを意味します。
これらは本業の債権債務ですから、手形帳や得意先台帳・仕入先台帳としっかりチェックしましょう。
その他の貸借対照表科目の残高を確認する
その他の貸借対照表科目の会計ソフト上の残高に間違いがないかを確認します。
貸借対照表のすべての科目残高が合っていることを確認できれば、残りはすべて損益計算書科目ということになります。
つまり、貸借対照表科目をチェックすることが、同時に損益計算書が正しく作成されているかどうかをチェックしていることになるのです。
手順⑤:月次試算表で業績を確認する
チェックが終われば当月分の会計データの完成です。さっそく月次試算表で業績を確認しましょう。
月次決算を12回積み重ねたものが年次決算です。つまり、月次決算は、年次決算の目標を達成するためのチェックポイント(通過点)なのです。
年次決算で最良の結果が出るように月次試算表で業績をしっかり見直しましょう。
年12回の見直しチャンスがあるわけですから目標達成の可能性も上がるはず。これこそが月次決算の目的です。
(さらに月次決算を効果的にする方法を知りたい方は、こちらの記事もどうぞ)
こういう時こそ税理士を利用せよ
自社で月次決算をするための手順について書いてきましたが、最初の立ち上げからすべてを自社でするのは厳しい部分もあるかもしれません。
こういう時こそ、税理士を利用してください。
- 最初の「仕訳パターン登録」は税理士にサポートしてもらう
- わからないことは税理士に聞きまくる
- 安心のために税理士にもチェックしてもらう
最初のうちは税理士に質問する回数も多く、大変に感じるかもしれませんが、だんだんと質問する回数も減ってくるはずです。
それは、あなたの会社がレベルアップしている証です。
まとめ
最後にもう一度、自社で月次決算をするための手順を書いておきます。
- 手順①:日々のお金の動きを入力する
- 手順②:売上高と仕入高を一括計上する
- 手順③:在庫を洗い替え処理する
- 手順④:間違いがないかチェックする
- 手順⑤:月次試算表で業績を確認する
記帳代行は、税理士に単なる作業料を払い続けるだけで、あなたの会社にとって何らプラスにはなりません。
どうせお金を払うなら、自社で月次決算ができるようにサポートを依頼するほうがずっと効果的です。この場合は、軌道に乗るまでのサポート料ですから一過性の費用で済みます。
つまり、あなたの会社にとって経費削減にもなり、レベルアップにも繋がる…まさに一石二鳥です。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ、下記の当事務所サービスページもご確認いただけると嬉しいです。